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1年生「長門学」金子みすゞの生涯

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今年は、童謡雑誌「赤い鳥」創刊100周年の年に当たるそうです。6月29日5限、1年生を対象に、長門学の一環として金子みすゞ記念館館長矢崎節夫氏をお招きし、ご講演いただきました。矢崎さんが大学1年生の時に出会ったみすゞの「大漁」の詩は、浜の喜びを詠う一方で海の魚たちの哀しみも詠っており、「世の中は二つで一つだ」という常に他者の存在を先に考えて生きたみすゞの世界観を如実に表しているそうです。途中、突然雨音が激しくなれば、「この雨は80年前に泣いた人の涙なんだ」と今蒸発した涙が80年を経て雨となるプロセスを、雷鳴が轟けば、みすゞの墓を探し求めた際、突然の落雷で墓の苔が削られたことで奇跡的に発見できたエピソードを、都度織り交ぜながらお話しくださいました。みすゞのこうした世界観は、この長門の地が、世界最古の子どものための宗教学校が開かれた歴史を持っていたことと、捕鯨漁において鯨の胎児を供養する習慣から人間のお腹の子どもへの胎教を推奨する文化が古くから存在していたことに拠るそうです。長門で生まれ育った生徒も、これから3年間をここ長門で過ごす生徒も、きっとこうした長門特有の風土に誇りを持ち、大切に受け継いでくれることでしょう。